かな文字が外国人にウケる訳 なぞれば千年の心

「この街で研究ができてよかった」。京都御苑の一角で古典の愛読書を開いてその魅力を語る、中国人の庄さん(京都市上京区)
「この街で研究ができてよかった」。京都御苑の一角で古典の愛読書を開いてその魅力を語る、中国人の庄さん(京都市上京区)


 時を超える「ときめき」

 同志社女子大大学院で百人一首を研究するハンガリー人カーロイ・オルショヤさん(28)=上京区=の原点は、かるた取りを楽しむために暗記が必要だと分かったこと。「百首も覚えないと楽しめないゲームって何!?って思いました」と、祖国の大学で初めて百人一首を知った時の驚きを話す。

 来日して2年たち、その奥深さに一層引かれている。例えば、和歌に詠まれる名所の「歌枕」。百人一首の歌枕には小倉山や名古曽の滝(大覚寺)などが登場するが、「実際はその場所に行っていないのに、情感が込もっている。不思議です」とカーロイさん。

 今、歌枕の地や百人一首を編さんした藤原定家ゆかりの古跡を訪ね歩く日々。知るほどに増える「不思議」に、「千年も前に歌に詠まれた風景をもっと、自分の目で見てみたい」との思いは募る一方だ。夢見た京の街にいるからこそできる学びに、ときめいている。