「ほととぎす 鳴きつる方(かた)を 眺むれば…」-。
小倉百人一首を読み上げる読手(どくしゅ)の声に神経を集中し、下(しも)の句が書かれた札を瞬時に払う競技者たち。近年、競技かるたが全国的に人気という。長崎県でも愛好者が集い、熱戦を繰り広げている。
ブームの火付け役となったのは、競技かるたに情熱を傾ける高校生の姿を描いた漫画「ちはやふる」。映画化され、女優・広瀬すず主演のシリーズ3作目「ちはやふる 結び」が今春公開され、DVDレンタルが開始されたばかりだ。
長崎県かるた協会によると、2007年の設立時に約20人だった会員が、現在では小学生から大人まで93人に増加。「ちはやふる効果」が大きいという。
加盟団体の一つ、長崎市の「桜空(おうぞら)かるた会」は長崎市内の愛好者の受け皿をつくろうと木場正代代表(47)と故清水繁県かるた協会長が力を合わせ2013年に設立。当初は小学生6人だったが、現在は中高生を中心に小学生から50代まで42人が所属している。
桜空かるた会は、毎週土曜日午後6時から3時間、長崎市の長崎市立図書館か長崎市男女共同参画推進センター・アマランスで練習試合をしながら腕を磨いている。「畳の上の格闘技」だけあって、会員は真剣な表情。腰を浮かせて構え、勢いよく払った札は和室の隅まで飛んでいく。さまざまな駆け引きも展開しているという。
6月に2段に昇段した長崎市の会社員、久冨真輝さん(23)は「転勤で長崎に来て、かるたを始めた。交流の輪が広がった」。初段の海星中2年、村本陽菜(はるな)さん(14)は「高校生になって大津市の近江神宮で行われる全国大会に出場するのが目標。仲間とレベルアップしたい」。約半年前に始めた長崎東中2年の松本樹(いつき)さん(13)は「作戦を練り、狙った札が取れたときはうれしい。並べた札を乱さず読まれた札だけ払う、きれいな取り方ができるようになりたい」。3人とも笑顔で語った。
木場代表は「礼儀やマナーを重んじ、対戦相手に対して謙虚な姿勢で臨むよう指導している。知力、体力、精神力でぶつかり合う競技かるたを通して老若男女の仲間が増え、心が潤えばうれしい」と話す。
一方、長崎県高校文化連盟によると、長崎県内には五島、長崎北、海星、青雲の4校に競技かるた部がある。近く長崎県総文祭部門大会があり、青雲をのぞく3校が出場。12月に鹿児島県で開く全九州総文祭の切符を掛けて戦う。
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