2012年に同好会として発足した競技かるた部は、今年、正式なクラブとして承認され、新たな活動をスタートした。高3が引退し、現在は高2が3人、高1が8人、中学生が5人の計16人で活動している。
「同好会時代には男子部員もいましたが、現在は全員女子部員です」と同好会時代から顧問を務める国語科の中山晋平教諭は話す。「人気連載漫画『ちはやふる』がテレビアニメになり、最近は映画にもなりました。女子ばかりのクラブになったのは、この影響かもしれません」
部員たちの夢は「全国高等学校小倉百人一首かるた選手権大会」の全国大会に出場することだ。しかし、「かるたの甲子園」とも呼ばれる夢の舞台に出場することは簡単ではない。まず、都道府県単位の予選があり、その予選も競技者の実力によってエントリーできる試合に制限がある。同校の生徒たちがエントリーできるのは、東京都予選のA~FまであるうちのE級だ。
「つまり、競技かるたのシステム上、全国大会出場はおろか東京都代表になるのにも、一足飛びにというわけにはいかないのです。でも、生徒たちは、一つでも上の級へ上がることを目標に日々の練習に励んでいます」と中山教諭は話す。
正式にクラブ化して、いっそう熱が入った練習の結果、6月の全国高等学校文化祭の競技かるた東京代表予選会のE級で3人の部員が優勝を果たした。
大会は、団体戦と個人戦がある。共栄学園の生徒は、1対1の個人戦に出場した。エントリーが多いので、一つのクラスをさらにいくつかのグループに分け、グループごとの勝ち抜き戦を行う。同校からはE級に8人がエントリーし、3人が優勝したという。
「下位のクラスでの小さな優勝ですが、優勝は優勝。胸を張ってよいと思います。顧問の私も生徒たちと一緒に喜びましたが、何より生徒の自信につながりました。これが創部1年目での一番の成果です」と中山教諭は笑顔をほころばせた。
中山教諭は顧問として、歌の意味の分からないところを教える、けがをさせないようにする、相手に対して礼儀とマナーを守る、この三つについて指導しているが、「生徒を信じ、クラブの運営には基本的に口は出さない」という。
「クラブの運営を生徒たちに任せると、生徒たちに責任感と自己管理力が養われていくことが分かります。ある意味で、クラブ活動が生徒たちの学びの場になっているのだと思います」
今回優勝した3人の中に、高2で部長の渡邊葵さんと高1で副部長の中村美穂さんがいる。渡邊さんは「試合で札を並べるわずかな時間に、どの札がどこにあるのかを覚えることが勝敗を分けます。競技かるたをする中で記憶力と集中力が自然と身に付いた気がします」と話す。
また、中村さんは「部活の時間は午後4時半から7時半まで。中学生は6時半に下校する規則です。ダラダラしていると練習時間がなくなってしまうため、スケジュール管理の意識が高まりました」としている。
2人とも競技かるたを通してさまざまなことを学んでいるようだ。中山教諭は「こうした自主的な学びが、新生競技かるた部のよき伝統となるように指導していきたいと思います」と語った。
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