「競技かるた」はクールな頭脳スポーツ? 百人一首の意味がわからなくても外国人がハマるワケ ※だいぶ前の記事ですが…(2015.8.31)

平成24年9月、福岡市で開かれた「小倉百人一首国際交流かるた大会」
平成24年9月、福岡市で開かれた「小倉百人一首国際交流かるた大会」


もうだいぶ前の記事です。(^.^; とても良い記事だったのでご紹介します。


「小倉百人一首」を使った競技かるたを楽しむ外国人が増えている。記憶力だけでなく瞬発力や集中力などが問われ、海外には存在しない“クール”な「頭脳スポーツ」として人気は高まっており、愛好者だけでも1万人規模に拡大しているともいわれている。言葉の意味が分からなくても熱中するケースもあり、「和歌の意味が知りたい」と日本語を学ぶきっかけにもなっているという。競技かるたの普及を手がける「全日本かるた協会」(本部・東京)は、本格的な国際大会の開催を目指し、外国人の競技人口拡大を進めている。(江森梓)

漫画・アニメきっかけに海外へ拡散

「競技かるたの聖地」とされる近江神宮(大津市)で開かれた定例のかるた教室をのぞいてみると、米国人中学生のノア・ラスキン・フレジー君の姿があった。

小倉百人一首のかるた取りを楽しむノア・ラスキン・フレジー君(中央)=大津市
小倉百人一首のかるた取りを楽しむノア・ラスキン・フレジー君(中央)=大津市

自国で日本語を3年間も学んだというノア君は現在、滋賀県近江八幡市にホームステイをしている。基本的な日常会話は何とか習得できたが、読み書きなどはまだ勉強中だ。教室では読み手の声に反応し、下の句が書かれた取り札にまっすぐ手を伸ばしていた。「かるたは札を払う動きが面白い。それに、ひらがなの勉強にもなりますから」とノア君は笑顔を浮かべていた。

小倉百人一首の競技かるたに挑戦するノア・ラスキン・フレジー君=大津市
小倉百人一首の競技かるたに挑戦するノア・ラスキン・フレジー君=大津市

日本の伝統ともいえる競技かるたの世界に、外国人が参加する光景は最近では珍しいことではなくなっている。全日本かるた協会によると、約10年前から「かるた取りをしたい」という外国人の問い合わせが寄せられるようになった。

きっかけとされるのは、競技かるたを題材にした少女漫画「ちはやふる」。平成23年にはアニメ化され、海外でも人気を集めている。さらに、試合の模様を撮影した動画がインターネットを通じて世界中で視聴されており、興味を持った外国人が競技かるたを始めるケースが徐々に増えているという。

他のゲームにはなく、コスプレも楽しめる

こうした外国人人気の高まりを背景に、同協会は24年9月、初めてとなる「小倉百人一首国際交流かるた大会」を福岡市で開催。米国や中国、韓国、タイ、ニュージーランドの5カ国と、日本を合わせて約30人が参加した。

大会運営に当たった海外普及委員で、米国在住のストーン睦美さん(52)は「かるたは記憶力と音に対する瞬発力が必要。このようなゲームは、類似するものが他にはない」と指摘する。そのうえで、「『袴姿』で対戦するというスタイルはコスプレ気分も味わえる。こうしたことも外国人の人気を集める要因になっているのではないか」と話している。海外での競技人口はまだ300人ほどだが、愛好者は1万人規模にまで広がっているとの見通しもあるという。

同協会は本格的な国際大会を定期的に開催することを目指し、協会員らが米国や中国などの海外を訪れて普及活動を進めている。

日本一から世界一へ…期待膨らむ

国内の競技かるたの選手たちも、日本を訪れた外国人たちにかるたを教えるなどしており、競技人口の拡大に一役買っている。

かつて競技かるたのクイーン位を獲得した今村美智子さん(62)=山口県宇部市=は、日本語がまったく理解できなくても外国人らが百人一首に親しめるように絵札だけを使った遊びを教えることを計画している。

今村さんは高校3年生でクイーン位に就いたが、当時はかるたをする外国人はいなかったという。それだけに、「私がクイーンだったころは『世界一』という発想自体がなかった。今の子供たちが大人になるころには、世界一決定戦が実現するかもしれませんね」と期待を寄せる。

2008年から…