14歳・女性
私は中学2年です。学校で「百人一首を全部暗記しなさい」という宿題が出ました。古文で何を言っているのか分からず、丸暗記はとても苦痛です。そもそも1000年も前の人が作った和歌を覚えることは、現代を生きる私たちの人生にとって意味があるのでしょうか。落語も昔の人々のストーリーが多いそうですので、異なる時代の人たちの物語を楽しむコツがあれば教えてもらえないでしょうか。
回答者・立川談四楼
暗記が苦痛ですか。暗記し、それを暗唱する楽しさをまだ味わっていないのですね。
私は群馬県の出身ですが、群馬生まれの子は「上毛(じょうもう)かるた」に親しみます。意味なんか理解せず、ゲーム性でやったのだと思います。
ところが今、これが大変役に立つのです。群馬公演でちょっと暗唱してみせると客席が大いに沸き、他県の人にも群馬の名所古跡を紹介するのに重宝しているのです。たとえば、いろはの「い」は、「伊香保温泉日本の名湯」といった具合です。
「源氏物語」はなぜいまだに読み継がれているのでしょう。分からないながら取り組むうちに理解が進み、みな面白さに夢中になってしまうからです。
百人一首も源氏物語同様に古く面白いものです。とっつきにくいとおっしゃるあなたには落語から入ってもらいましょう。「千早ふる」と「崇徳院(すとくいん)」をおすすめします。
在原業平(ありわらのなりひら)の「千早ふる神代(かみよ)もきかず龍田川(たつたがわ) からくれなゐに水くくるとは」と、鳥羽天皇の第1皇子・崇徳院が詠んだ「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢(あ)はむとぞ思ふ」です。「千早ふる」のばかばかしさ、「崇徳院」の噺(はなし)の構造(恋愛がらみ)をぜひ楽しんでください。
さ、図書館へ行き、落語全集(百人一首の本)を開きましょう。幼稚園児が「寿限無(じゅげむ)寿限無五劫(ごこう)の擦(す)り切れ…」と楽しそうに暗唱しています。意味なんてわかっていません。あなたも…
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