競技かるたの「聖地」として知られる近江神宮近江勧学館(大津市神宮町)で3日開かれた国別対抗戦「第1回おおつ光ルくん杯競技かるた世界大会」(市など主催)は、フランスの優勝で幕を閉じた。
なじみの薄い日本語の発音を聞き取ろうと、工夫と努力を続けた世界の選手たち。世界に「百人一首」の魅力を広げようと、汗を流した日本の競技者たち。映画化もされた漫画「ちはやふる」ブームの後押しもあり、両者が積み重ねてきた成果が、大会の成功を導き出した。【競技かるた四段・諸隈美紗稀】
世界大会には、日本▽米国▽タイ▽イタリア▽中国▽フランス▽ハンガリー▽ブラジル--の8カ国が参加。近隣の大学に通う留学生からなる「留学生チーム」も参戦し、計10チームで争った。
「大会名簿を見ると自分の名前が目立つ。いつもタイ代表だと思って臨んでいる」
タイ代表で主将を務めたミミー・ダーンターウォンジャローンさん(23)=バンコク在住=が語る。かるたに出合ったのは中学2年の時。学校にあった競技かるたのクラブ「日本クラブ」に「日本語を学べる」と勘違いして入部したのがきっかけだった。すぐに魅力にとりつかれ、日本の高校に留学した時には個人戦の大会にも出場し、現在はB級を保持する実力者だ。
そんなミミーさんも、かるたを始めた当初は日本語をほとんど理解できなかった。
外国の選手がかるたを始める時、まずぶつかる壁が「聞き慣れない音と言葉」だ。競技かるたは「上の句」が読まれるのを聞き、それと対になる「下の句」が書かれた札を払う。ただ、上の句を最後まで聞く必要はなく、どの下の句になるのかを判断できる「決まり字」をいかに早く聞き取れるかが、勝敗を分ける鍵となる。
上の句と下の句を覚えるため、ミミーさんは音の響きに合わせ、タイ語でイメージしやすい語呂合わせを作成。上の句の意味に合わせて、下の句の平仮名一文字一文字をイラストに置き換え、両句を結び付けて覚えやすくした。「平仮名を読めれば誰でもできる。かるたを始めてから日本語の練習にもなった」とミミーさん。世界大会でも数少ない有段者としてチームを引っ張り、3位に輝いた。
今大会で審判を務めた競技かるたの愛好会「大津あきのた会」の石沢直樹さんは「海外の選手は『た』『ほ』『は』『ひ』の反応が早いなど、日本人とは違う感覚を持っている。そういう選手が…
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