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こんなにツライか…夜露に濡れる民を想う[天智天皇]/超訳 百人一首①
農民を思いやる天皇の歌
【歌】
秋(あき)の田(た)の
仮庵(かりお)の庵(いお)の
苫(とま)をあらみ
わが衣手(ころもで)は
露(つゆ)にぬれつつ
天智天皇(てんじてんのう)
【超訳】
刈り入れに備え、今夜は田のそばの粗末な小屋で、眠ろう。屋根の造りが粗いから夜露で袖が濡れてくるぞ。――あぁ、民とはこんなにも辛い思いをしているのか。
【解説】
天皇が農民の苦労を思いやって詠んだ歌として愛されてきた一首。ただし、「苫」という語は奈良時代の『万葉集』でもまだ登場しておらず、飛鳥時代の天智天皇が詠んだとは考えにくい歌です。ちなみに、『万葉集』に「秋田刈る仮庵を作り我が居れば衣手寒く露ぞおきにける」(巻10・2174)という作者不明の和歌があります。これが伝わるうちに天智天皇御製とされたのでは。
◇ ◇ ◇
■天智天皇(626~671年)
中大兄皇子と呼ばれた皇太子の時代に、中臣鎌足らと蘇我氏を討ち、大化の改新を行った。
■出典
後撰集・秋中(302)
【監修者紹介】吉田 裕子(よしだ・ゆうこ)
都内の大学受験塾やカルチャースクールで教えるほか、書籍執筆やメディア出演を通じ、古典文学や日本語の魅力を発信する。
著書に『心の羅針盤をつくる 「徒然草」兼好が教える人生の流儀』(徳間書店)、『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など多数。
【イラストレーター紹介】カワグチ ニラコ
ユーモラスかつ可愛らしいタッチで、実用書のイラストからコミックエッセイまで手掛ける。著書に『イラストでわかる 日本の仏さま』『あちこち 吉祥寺&中央線 さんぽ』(KADOKAWA)など。
本書を手掛けながら和歌の面白さに気づき、『万葉集』から読み直そうと決意。