平安から戦国時代まで400年以上にわたり、現在の宇都宮市を治めた宇都宮氏を紹介する企画展「中世宇都宮氏 頼朝・尊氏・秀吉を支えた名族」が16日、同市睦町の県立博物館で始まる。国宝を含む貴重な展示資料を通して、「名門武士団」と呼ばれた宇都宮氏の歴史をひもとく。10月29日まで。 (北浜修)
宇都宮氏は関東地方の有力武士の一族として、源頼朝、足利尊氏、豊臣秀吉らと関わりをもった。一方で、現在の宇都宮二荒山神社(同市)の神職を務めたり、法然や親鸞らと交流したり、百人一首の成立にも関与するなど、文武両道の一族とされる。
企画展は同館開館三十五周年を記念して開かれる。同館をはじめ全国の寺社や博物館、図書館などが所蔵する絵巻や書状、仏像など約二百四十点を展示。国宝二十一点、国重要文化財四十六点を含む。
資料は宇都宮氏の成立や信仰と文化、頼朝、尊氏、秀吉らとの関係など、七つのテーマに分けて展示し、宇都宮氏の歴史を分かりやすく説明している。
歴代当主は二十二代におよぶが、現在に残る肖像画などは少ない。その中で、五代当主だった頼綱が描かれている「法然上人絵伝」(京都市の知恩院蔵、国宝)や、宇都宮氏ゆかりの立像などは、信仰をうかがわせ、興味深い。