■今月の恋の歌
中納言朝忠
逢ふことの絶えてしなくばなかなかに人をも身をも恨みざらまし
(意味)あなたと出会わなければよかった。あなたとの恋が成就したから、かえって今、この状況がつらく苦しく感じてしまう。
結ばれたからこその嘆き
いにしえの歌人は和歌をツールとして、恋心を告白しました。相手に受け入れられれば「恋の成就」です。この歌は、恋人と結ばれた後の複雑な心境を詠んだものです。
せっかく恋が成就したのに、何らかの事情で男性は女性に会えなくなったようです。つれなくされ、男性の悲痛な思いは相手への恨みとなっていきます。「恋など成就しなければよかった」「一度結ばれたからこそ、なおさら切ない」と。「恨む」という言葉とは裏腹に、恋しい思いが断ち切れない相手への愛情がにじみ出ています。
「人をも身をも」とは、相手も自分も、ということ。自分自身も「恨む」という、みじめな自分に対して向けた言葉です。しかし一方で、心の中で愛する相手と一体化し、恋人をかばうかのごとく、自分を責めているようにも感じられます。
取り方のポイント◇
◆決まり字「あふこ」 二字決まり
「あふこ」は、「オオコ」と読みます。「オオ…」で始まる札は、「オオコ」「オオエ」「オオケ」の3枚です。お手つきをしやすい札なので気をつけましょう。
敵陣と自陣に分かれている場合は、まず敵陣に手を出し、違った時に自陣に戻ります。これを「戻り手」といいます。コツは、決まり字をよく聞き、「オオコ」なら「…コ」ではないと感じた瞬間に、敵陣から戻って自陣を思い切り払います。ただ、「オオコ」でなくとも、「オオエ」か「オオケ」か確定しないので注意が必要です。この場合は3音目の決まり字を聞き、確認してから払います。もし「オオケ」がすでに読まれていて、敵陣に「オオコ」、自陣に「オオエ」という状況なら確認は不要です。決まり字が「…コ」でないと感じた瞬間に、いちはやく自陣を払います。
もう一首
権中納言敦忠…