【田口貴志先生の競技かるた入門講座】競技かるた選手の新年は名人戦・クイーン戦でスタート!

名人戦・クイーン戦が行われる”競技かるたの聖地”近江神宮
名人戦・クイーン戦が行われる”競技かるたの聖地”近江神宮


「畳の上の格闘技」と言われる競技かるたの魅力。

今回は、毎年お正月に行われる名人戦・クイーン戦について、私立暁星中学・高等学校の競技かるた部の顧問、田口貴志先生に、教えていただきます。

名人戦・クイーン戦とは?

競技かるた選手にとって、新年は名人戦とクイーン戦から始まります。
この名人戦・クイーン戦が、全競技かるた選手が憧れる最高峰の戦いなのです。

2018年の名人戦・クイーン戦は、1月7日(日)に、滋賀県大津市の近江神宮で開催されます。
名人戦は、川崎文義名人(福井)に、粂原圭太郎八段(京都)が挑戦します。
クイーン戦は、鶴田紗恵クイーン(福岡)に、山下恵令六段(東京)が挑戦します。

今の名人とクイーンは、どんな方ですか?

前年の名人戦は、川崎文義名人にとって初めての防衛戦でした。対戦相手は同門・福井の三好輝明八段。強敵相手でしたが、5戦勝負の名人戦で3連勝し、2期目の名人位となっています。

クイーン戦は、初出場の鶴田六段が坪田クイーンに挑戦。3戦勝負のクイーン戦で1戦目に先勝すると、2試合目も劇的な運命戦(※1枚差の接戦のこと)で勝利を収め、念願のクイーン位に就きました。

ともにまだ期の浅い、若き名人・クイーンと言えます。
大名人・大クイーンとなるべく、今年度の第64期名人位・第62期クイーン位決定戦で、挑戦者を待ち受けています。

 

名人位・クイーン位挑戦者決定戦開会式

 

今回の挑戦者は、どうやって決まったの?

名人・クイーンに挑戦する選手を決める予選は、毎年10月に開催されます。
参加資格はA級選手のみ。全てのA級選手が参加するわけではありませんが、今年の東西の名人戦予選・クイーン戦予選には、合計で231人のA級選手が参加しました。予選はトーナメント方式で行われ、1日で男女の東日本代表・西日本代表が決定されます。

名人戦予選東日本代表は高洲悠五段(中央大学)、西日本代表は粂原圭太郎八段でした。クイーン戦予選は、東日本代表が山下恵令六段、西日本代表は山添百合六段でした。11月の挑戦者決定戦では、この東西代表が3戦勝負によって雌雄を決します。

挑戦者決定戦の結果は?

2017年11月19日(日)、東京都文京区のかるた記念大塚会館にて、挑戦者決定戦が開催されました。

名人の部は、3試合中2試合が運命戦となる接戦!
1回戦の運命戦では、敵陣を抜き先制した高洲五段でしたが、2戦目は粂原八段の勝利、決戦となった3回戦も、もつれにもつれ、運命戦で自陣を守った粂原八段が初めての名人戦に出場します。

クイーンの部は、初戦を山下六段が先制すると、2回戦も優勢。粘る山添六段を振り切り、2連勝で挑戦権を獲得しました。過去に2度の準クイーンの経験のある山下六段は、今回が3回目の挑戦となります。

 

クイーン位挑戦者決定戦の様子

 

今回の名人戦とクイーン戦は、どんな試合に?

名人戦は挑戦者が不利な傾向があり、特に初挑戦で名人を倒した挑戦者は2人だけで、勝率は1割以下。厳しい予選を勝ち抜いた挑戦者でさえ苦しむ試合です。
とはいえ、粂原八段は…

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☆田口貴志先生のご紹介☆
全国高等学校小倉百人一首かるた選手権で9連覇の実績を誇る、競技かるたの強豪校、東京都千代田区の私立暁星中学・高等学校、競技かるた部顧問。
ご自身も競技かるたA級選手、段位は六段。著書に「暗記しないでうまくなる百人一首」があります。