北斎ならぬ「西斎」という雅号をもち、日本文化と海外の懸け橋になる活動を続けるマクミランさん。日本文化の奥深さを文学、しかも百人一首から吸収したという……。
日本独特の美学といってまず挙げられるのが、「和をもって尊しとなす」でしょう。それは、言葉の使い方からもよく伝わってきます。たとえばメールを書く際、日本ではまず季節やまわりの状況、相手の様子を問う内容から始めることが多いですよね。ここには、日本人が相手を慮る気持ちが表れていると思います。和よりも正義を重んじる欧米にはないことです。
また、無常観というのも実に日本らしいと思います。西洋の美学では、美しいものを永遠にとどめておきたいとする志向があります。しかしすぐに散ってしまう桜に代表されるように、日本では儚いこともまた美しさであり、そこに価値を見いだしています。散ってしまう儚さがあるからこそ、桜は美しいという。こういう奥深いものの見方には、感銘を覚えます。
『百人一首』は、一人ひとりがそれぞれ一首詠んだ和歌が収められている秀歌撰です。江戸時代はベストセラーとなり、現在に至るまで多くの人に愛されています。七五調のリズム感や自然との一体感、同音異義語での言葉遊びなど、そこにはゆとりや豊かな感性を見いだすことができます。また外国人から見ると神秘的で言葉を超えたパワーまで感じるほどです。そしてこの百人一首こそ、先ほど挙げた日本人の価値観や美意識といった精神性が…
本文の続きと、更に他の記事の閲覧はこちら(アエラ スタイルマガジン)