競技かるたの「ちはやふる」が、ハンガリーと日本を結ぶ♪


だいぶ前の記事ですが、海外での競技かるたについて取り上げている珍しい記事なので、ここでご紹介します。


スポーツ漫画・アニメと言えば、皆さまは真っ先に何を思い浮かべますか?
どんな人にも大きく影響を受けた漫画やアニメってありますよね。

 

日本のスポーツTVアニメ

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リオ・オリンピックも真っ只中、選手への応援も熱い

スポーツTVアニメは1968年「巨人の星」から始まり、1969年には「アタックNo.1」など、必殺技や鬼コーチからのスパルタ特訓、そしてとっても熱い、 いわゆるスポ根アニメがテレビで放映を開始。
それから、約50年弱、さまざまなアニメが日本国内にとどまらず世界へ普及していきました。
それぞれの時代背景が繁栄され、人物の描写や表現なども変化していますが、 スポーツを通して登場人物が成長していく過程、友情、チームワーク、夢、恋愛、挫折、敗北、理不尽、現実との格闘、自分との闘いといった内面の葛藤などの共通点があり、そのキャラクターと共感・共有できるところがたくさん。

キャラクターたちが成長していくように、観ている(読んでいる)私たちも一緒に成長できる、引き込まれていく、まるで人生の教科書のようで、そこが魅力なのなのかもしれません。
またリアリティを追及し、ルールや競技がわからなくても、作中で解説があるので初心者や競技をしなくても楽しめるようになっています。


「ちはやふる」の魅力とは?

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出典元:ちはやふる公式 (@chihaya_koshiki)

百人一首を題材にした大人気の少女漫画「ちはやふる」。
これまでのスポーツものとはちょっと違い、「競技かるた」という和のテイストが加わったスポーツという点が面白いですよね。
普段はちょっと天然で鈍感、でもかるたのことになるとものすごく集中する主人公の「千早(ちはや)」。

地味なイメージがある百人一首、それが「競技かるた」という形でスポーツになっているということを、恥ずかしながら筆者はテレビアニメを見るまでは知りませんでした。
今年の春には、実写版の映画にもなりましたよね。

少女漫画は1960年代ごろまで男性作家が多く、徐々に女性作家が増えてきた時代。

そんな中、1964年に16歳の若さでデビューした里中満智子先生がとある講演で、

「それまでの少女漫画はお涙ちょうだいが多くて、かわいそうな状況の中で、たまたまその中で生まれた女の子が、ただ泣いてるだけだったり、白馬の王子様を待ってるだけだったりするのが多かった。

女の子だって自力で生きていける、そのためには自分で考えなくてはと、ヒロインが人生の分岐点にたったとき、自分で結審して足を踏み出すようにしたいと考えました」

と言われていました。

時代が流れ、千早を見る限りでは自らが考え動き、困難を乗り越える芯の強さがあり、仲間と共に現代に生きる強い女性に通じるものがあって、そこが魅力なのかもしれませんね。
(歴代スポーツアニメに出てくるヒロインたちの人物像も時代背景を考察して見比べると新たな発見もあるかも。)

そして「ちはやふる」もリアリティがあり、人間味溢れる躍動感、臨場感、ユーモア、成長過程を描いています。
漫画「ちはやふる」を通して、競技かるたを見学にいく人も増えたそうですよ。

 


 

ハンガリーにかるた競技が展開されつつある

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かるた

実はこの競技かるた、現在ハンガリーでも人気に火が付き始めているのです。

2015年4月から1年間研究生として来日し、2016年4月から同志社大学院文学研究科博士課程(後期)に在籍しているカーロイ・オルショヤさん。
ハンガリーで大学に通っているときに百人一首に出会い、競技かるたも始めたというカーロイさんに少し、お話を伺ってみることにしました。


Q.日本にはいつ来られましたか?

カーロイさん(以下、Qの後はカーロイさんのインタビュー)

初めて来日したのは2011年、日本国際交流基金の奨学金で2週間の短期留学をしました。その後、昨年(2015年)同志社女子大学に1年間研究生として留学し、今年(2016年)4月から大学院生として同大学に通っています。


Q. いつから日本語を?

17歳のとき友人と一緒に学びましたが、ひらがなくらいしか覚えられませんでした。
小さいころテレビで日本のお弁当や日本食のことが放映されていて、 箸で食べている姿がかっこいい、それに日本語の響きが綺麗だったので、 それで学びたいと思っていたのです。
そして大学で日本語学科を専攻し本格的に学びました。


Q. 百人一首・競技かるたをはじめたきっかけは?

もともと日本の古文が好きで、たまたま授業で先生が百人一首を教えてくれて「かるたゲームがあるのよ」と紹介してくれたのです。


Q. ハンガリーで競技かるたの活動はどんな感じですか?

「超訳百人一首 うた恋い。」というアニメを見ていたのですが、後輩に「ちはやふる」を勧められました。
私は古文が好きなのですが、嫌いな人が多かったんです。
ですので大学でかるた部を作りました。
歌を覚えてもらえば古文をもっと好きになるかなって思って。

ルールなどは、全日本かるた協会のサイトを見たり、いろいろネットで調べて学びました。
最初は3人くらいしかいなかったのですが、「ちはやふる」の影響で10人くらい集まり、 もしもあのアニメがなかったら、たった3人のまま。
「ちはやふる」の影響ってすごいと思います。
ハンガリーには部活という概念がないので、同好会といったほうがいいかもしれません。

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カーロイさんがハンガリーの大学でかるた会を作った時のパンフレット


Q. 「ちはやふる」の魅了はなんですか?

かるたをやっていなくても、みんなと一緒に頑張ろうという気持ちがすごく伝わってくるので、今やっていることを頑張らなくちゃいけないと思わせてくれるところが好きです。
やる気が出てくるのがすごいなって。
それに(競技かるたの)大会に出たとき、本当にアニメのまんまなんだと驚きました。
とってもリアリティがあります。


Q. お気に入りの歌はなんですか?

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崇徳院=崇徳天皇 不遇の人生を送った崇徳院

※「瀬を早(はや)み 岩にせかるる 滝川(たきがは)のわれても末(すえ)に 逢はむとぞ思ふ」です。

川の流れが岩にせき止められ2つに分かれてしまうけれど、 またひとつの流れになる。
別れてもまた会おうねという意味ですが、激しい恋の歌なのに恋という言葉や好きとかストレートに言わないところが好きです。

※作者 崇徳院


Q. 将来の夢は日本古典をハンガリー語に翻訳することだと伺いました。難しいところは?

翻訳するには「修辞法」をきちんと学ばないといけないのです。
またその研究をしています。
例えば、※「立ち別れいなばの山の峰におふるまつとし聞かば今帰り来 (こ) む」の歌で、「まつ」に「松」と「待つ」の意味が含まれているというような掛け言葉があるので、そこが難しいです。

※作者 中納言行平


Q. 現在の活動は?

大学のかるた部に入っていて、他のかるた会にも所属しています。
両方合わせると週4~5回練習があって忙しいですが楽しいです。


 

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袴姿でかるた部のデモンストレーションを行っているカーロイさん


 

Q. ところで食事はどうされていますか?

料理が好きで、ハンガリーにいたときも日本料理か日本料理っぽいものを作っていました。
日本食は大好きなんです。
なので日本に来てすごく幸せで幸せで(笑)

本文の続きはこちら(FinoMagazin)

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