■今月の恋の歌
玉の緒よたえなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする
(意味)このまま生きながらえると、忍んでいたあの人への思いがあふれてしまう。隠すことができないなら死んでしまいたいわ。ああ、恋しい。
人には言えない忍ぶ恋
内親王とは天皇の皇女のことで、昔は結婚が許されないしきたりでした。式子内親王は後白河天皇の皇女として生まれ、生涯独身でした。
最高の歌人であった藤原俊成に和歌を習い、自身も歌人として名を立てていきます。そんな時期に、俊成の息子で、後に小倉百人一首を選ぶことになる若い定家と出会いました。
人目を忍ぶ恋だったのに、このままでは自分の思いが人に知られてしまう。ならばいっそ死んでしまいたい、と歌い上げます。絶対に隠さねばならない恋だったのでしょう。
式子内親王は定家と親しく歌を詠み交わし、定家の日記にも彼女が登場します。もしかしたら式子内親王は実体験を歌にしたのではないか? 恋の相手は定家? 想像をふくらませることで、この和歌がいっそう切なく美しく感じられます。
取り方のポイント◇
本文の続きはこちら(毎日新聞)